この前、稽古先で食したカワハギの「遠江(とおとうみ)」。身体を覆っているかたい皮と身の間にある薄い皮の部分、これが美味しい。身もさることながら、薄皮も肝も…食べ尽くせるカワハギ。「身と皮、つまり身皮(みかわ=三河)のとなり=遠江」という所以の命名だとか。地図で「遠江」を確認。これに限ったこともなく、料理名や食材の「言われ」って、面白いなぁとつくづく思った次第。カワハギの口元って、色っぽい。
持ち帰りにいただいたカワハギの頭・中骨と、前日から水に漬けておいた昆布だしで、「出汁」を取り。さて、何作ろう?とぶつぶつ思いながら、まずは、基本の味噌汁。海の香りが鼻腔を通る。かつお昆布だしとは違った淡白な旨み。合わせたごはんは、彼方、平安時代にも記録の残る「油飯(アブライヒ)」。日本にごま油が渡り、食されていたとされるものですが、これに生姜と醤油などの調味料をプラス。
カワハギ&昆布の出汁に、サフランを加えたスープストックで、あさりのリゾットに。カワハギの頭と中骨の身も残さず入れます。おでこのあたりは結構肉付きがいいのね。鶏手羽スープストックより、あっさりとしているが、しっかりと風味のきいた仕上がりに。謙虚な頑固者とかそんな感じ。
最後は、カワハギ&昆布の出汁に、帆立の貝柱を一晩漬けて、「カワハギ&昆布&貝柱の出汁(長っ)」を使った、和風あんかけごはん。具材は冷蔵庫にあった野菜たち。
真鯛やいなだの出汁もいいけれど、カワハギの出汁に開眼したここ数日…。